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今中 麻幸代*; 長尾 誠也; 中口 譲*; 山口 善高*; 鈴木 康弘*; 村上 雅洋*; 平木 敬三*
Proceedings of International Conference on the Biogeochemistry of Trace Elements (ICOBTE2001), P. 662, 2001/00
高分子電解質の有機酸である腐植物質は天然水中に存在し、微量元素との錯形成能が高いために、微量元素の移行性及び分布状況に関与していることが報告されている。したがって、微量元素の移行動態を把握するためには、腐植物質との錯体の特性を検討する必要がある。本研究では、限外濾過法と3次元蛍光分光法とを組み合わせ、銅と地下水フルボ酸との錯体の特徴を分子サイズの観点より検討した。銅とフルボ酸を共存させた場合、フルボ酸の蛍光ピークの強度は約70%減少した。銅の添加前後でフルボ酸の分子サイズはそれほど大きな違いは認められないが、分子サイズ1万以下の画分の蛍光強度は70~80%減少した。添加した銅の大部分はこれらの分子サイズに存在したことから、フルボ酸の蛍光消光は主に分子サイズ1万以下の低分子の構成有機物と銅との錯形成により起こることが明らかとなった。
長尾 誠也; R.R.Rao*; R.W.D.Killey*; J.L.Young*
Radiochimica Acta, 82, p.205 - 211, 1998/00
カナダ原子力公社チョークリバー研究所で採取した砂質土壌と地下水有機物を用い、溶存有機物存在下でのEuの砂質土壌における移行挙動をカラム実験により検討した。本研究では有機物の影響を詳細に調べるため、Aldrich社製フミン酸、河川水フミン酸・フルボ酸を参照有機物として用いた。Eu-152を含むpH5.5、イオン強度0.01M過塩素酸ナトリウム溶液を砂質土壌を詰めたカラム(内径2.5cm、長さ2.5cm)に1ml/minの流速で流し、溶出液のEu-152放射能濃度、有機物濃度を測定した。その結果、溶存有機物が存在しない系において、Euはカラムの空隙の90倍の溶液を流しても溶出液に検出されなかったが、有機物存在下において溶出液にEuが検出された。Euの最大相対濃度は河川水フルボ酸地下水有機物河川水フミン酸≒Aldrichフミン酸の順に大きくなった。これは、Euの移行性の増加がEuと有機物との錯体の分子サイズに支配されていることを示唆している。
田中 忠夫; 長尾 誠也; 坂本 義昭; 大貫 敏彦; S.Ni*; 妹尾 宗明*
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(8), p.829 - 834, 1997/08
被引用回数:15 パーセンタイル:74.12(Nuclear Science & Technology)クロボク土とCo、Sr及びAmの相互作用に及ぼすフミン酸の影響について、フミン酸の分子サイズに着目して調べた。Coの分配係数(K)はフミン酸の共存によってほとんど影響を受けなかったが、SrのKは共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って大きくなった。一方、AmのKは、クロボク土に対するフミン酸のKと同様に、共存するフミン酸の濃度が高くなるに従って小さくなった。水溶液中で、Amは分画分子量30,000~100,000のサイズのフミン酸と安定な結合体を選択的に形成したが、Co及びSrは100,000以下のサイズのフミン酸とAmに比べて弱く結合することが分かった。これらの結果から、CoやSrのKは陽イオンとフミン酸結合体の両化学種の収着によって主に支配されるが、AmのKはクロボク土に対するフミン酸の収着及び間隙による機械的な捕獲によって制御されることが示された。
田中 忠夫; 妹尾 宗明
Radioisotopes, 44(2), p.99 - 102, 1995/02
限外ろ過法で100000MW以上、30000~100000MWおよび5000~30000MWの分子サイズに分画した各フミン酸フラクションについて、Co及びAmの反応性を比較するとともに、各フラクションが有する官能基をFTIRスペクトル解析で調べた。Coと2Amは30000~100000MWのフミン酸フラクションと優先的に反応することが分かった。FTIRスペクトル解析から、100000MW以上のフラクションは主として脂肪族のCOOH、30000~100000MWのフラクションは芳香族のCOOHおよびOH、および5000~30000MWのフラクションは芳香族のCOOHが支配的な反応性官能基であることが見い出された。CoおよびAmとフミン酸との錯形成能のフミン酸分子サイズ依存性は、各分子サイズのフミン酸が有する官能基の種類およびその官能基周辺で生じる立体障害に起因することが示唆された。
久米 民和
放射線化学, 0(57), p.3 - 12, 1994/00
放射線失活法による分子サイズ測定の概念及び生体機能解明への応用について解説した。放射線失活法は、ターゲット説に基づいて、失活の程度から活性物質の大きさを求めるユニークな手法である。従来の分子量測定法では活性物質を単離・精製する必要があったが、本測定法ではその必要がなく、生体内での活性物質のサイズが測定できることから、生体機能解明への応用例が増えている。本稿では、測定法の概念、詳細な実験法及びその注意点について述べるとともに、著者らの行ってきた研究例(オボムコイドのドメインサイズ、膜結合タンパク質であるアンジオテンシン変換酵素、心房性ナトリウム利尿ペプチドレセプターによる活性化機構)を中心に、生体機能解明への応用について紹介した。
S.H.Sjarief*; 菊地 正博; 栗田 比呂美*; 北山 滋*; 渡辺 宏
JAERI-M 90-076, 17 Pages, 1990/05
放射線抵抗性細菌であるDeinococcus radioduransは、5kGyまでの線量で生じるところの2本鎖切断を含めた種々のDNA損傷を修復することができる。この修復機構を明らかにするためには、遺伝子解析に使用するクローニングベクターを開発する必要があり、著者らはそのためにD.radioduransサーク株からプラスミドの分離を試みた。その結果、0.6%低融点アガロースを用いて、冷却しながら電気泳動すると、プラスミドの分離が良く、純度の高いDNAを回収できることがわかった。この方法で回収した3種類のプラスミド(P2、P3、P4)の分子量は、それぞれ、36、45、87kbpであった。また、分子量から、P2、P3は、Mackayらが報告したpUE10、pUE11であると推定されるが、P4は、本研究において新たに見い出されたものである。P2については、種々の制限酵素切断結果に基づき、制限酵素地図を作成した。
久米 民和; 石垣 功
Biochimica et Biophysica Acta, 914, p.101 - 103, 1987/00
トリプシンインヒビターの生物活性を示す分子の大きさについて、放射線失活法により検討した。種々の酵素やレセプターの分子量がターゲット説に基いた放射線失活法により測定できるが、オボムコイド(鶏卵中のトリプシンインヒビター)の場合分子量28,000よりはるかに小さい10,200という値が得られた。オボムコイドは3つのドメインから成り、その1つが活性を有していることが知られている。そこで活性を有しているドメインの分子サイズは、9,300であり、放射線失活法で求めた値とほぼ一致することを見出した。他のトリプシンインヒビター:オボインヒビター(MW49,000)でも活性を有するドメインサイズ14,000に近い17,800が得られた。これらの結果から、放射線失活法によって得られるトリプシンインヒビターの分子サイズはドメインの大きさであり、またin situでも同様の結果が得られると結論した。